全体で見るとどうにもおかしい。あるいは、アウトドアっぽい恰好をしたかと思うと、Gのマークも燦然と輝くダッチの黒いアタッシェケースを持って、煙草の吸殻を道路に投げ捨てる、というような筋のなさなのである。こうした一見シャレ者の多くは、単にかっこいい部分を節操なく欧米から拝借しただけで、自分と物との精神的な交流をほとんど考えていない。ライフスタイルに対する歴史がないからね。これをそのままインテリアに持ち込むとどうなるか。
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洋間のリビングルームと畳の日本問を、襖で仕切るということを平気でやる。狭い部屋をうるさい模様の壁紙で飾り、床や天井、窓やドア、なんでもかんでも焦げ茶で縁取って、細切れの部屋をさらにみじん切りにする。狭い洋間に掛かる赤富士の油絵の下には、金糸銀糸の歌舞伎の人形。その前で、パジャマ姿の本人はハンバーグを箸でつついている。そういった風景になるのではあるまいか。インテリアというのは、住む本人の品格や教養、そして性格までも紋章のようにきっちり表現する、ということを頭にしっかりと入れて、自分流の骨格のきちんとしたものを取り入れるべきなのだ。お手上げなら、それこそインテリアデザイナーに代弁してもらう。自分の雰囲気を探し出して、そいつを全体に塗りこめるようにね。もちろん本人のセンスがいいにこしたことはない。それには美しいものを数多く見るべきだ。参考にすべきは外国の室内写真。写真集をトイレにでも数冊放り込み、失うべきものに別れを告げ、美しいメモリイを補充する。変わっていく自分が、わかるはずだ。水を流すたびにね。そうしていったん出来上がったインテリアは、今度は中に住む人物をとらえはじめる。