管理組合は工事会社の選定にあたって、数社から工事見積りを受理したが、十分ではない資金にあわせて一番安い見積りを提示した会社に工事を発注した。ところが、工事完了後ほどなくして、工事前に漏水していた住戸の漏水が再発、さらには新たな漏水も発生するにいたっている。管理組合は施工会社に補修請求をおこなったものの、会社は事実上の倒産、それ以降の折衝が困難になった。私は工事実施五年後の状態を観察したが、外壁はいたるところでひびわれ補修跡が露出した。仕上げ塗膜の付着強度は、外壁の表面に四センチ角の鋼製の金物をとりつけて、油圧力で引っぱって調べるもので、最低でも五〜七Kg/m必要である。屋上を見ると、旧防水層の上に塗り重ねた新しい防水層はすでに切れており、防水の役割をまったく保っていない状態だった。外壁の付着強度が不足したのは、新しい仕上げをする際に十分な下地処理をしなかったためである。
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